孤独なカラスのラノベ備忘録

勝手気ままにラノベの感想を書き連ねるだけのブログです。

異世界迷宮の最深部を目指そう 6

 

異世界迷宮の最深部を目指そう 6 (オーバーラップ文庫)

異世界迷宮の最深部を目指そう 6 (オーバーラップ文庫)

 

~あらすじ~ 

――『武闘大会』編、決着!

パリンクロンにつけられた腕輪を破壊し、記憶を取り戻したカナミ。
全ての決着をつけるため、『ある人物』に狙いを悟られないよう、カナミはラスティアラたちと共に行動を開始する。
スノウを説得し、マリアを虚偽の記憶から解放する――全ては孤独な親友であるローウェンを救うため。
一方、未練を果たせると武闘大会に臨んでいたローウェンは、『最強』の『英雄』としての在り方に疑問を抱いていて……?
「さあ――『第三十の試練』を始めよう」
夢のような日々が結実した今ここに、一ノ月連合国総合騎士団種舞踏会は終幕する。

 

──親愛なる貴方へ。
 
最後まで読みきってから表紙を眺めていると、自然と涙が……。
家の教えに従い剣を極め続けたローウェンという1人の男の生き様は、何よりも美しかったです。来る日も来る日も剣を振り続け、そして孤独になった彼の前に現れた親友たち。親友と剣を交え、そしてついに、少しばかりの『栄光』を手に入れた彼は、なんの『未練』もなく笑っている……それこそ、語り継がれるような英雄譚のようでした。
 
「ああ……、必要だったのは万雷の喝采ではなかった……」
「このささやかな声援一つあれば、それだけで私はよかったんだ……」
 
長い戦いの果てに、ようやく答えを見つけた彼の姿には涙せずにはいられませんでした。頑張って練習した剣を見てほしかった。ちょっとだけでいいから、褒めてほしかった。そういう思いが、あの大きな舞台で叶えられていく。男の生き様、かくあるべし……。
 
ヒロインではやはりスノウが印象的。4巻、5巻、6巻と性格がグングン変わるというだけでも面白いのに、6巻のスノウはもうなんか、自然と笑顔になってしまうような子に落ち着きました。ちょっと腰が低いのが面白い。めっちゃ強いのにやたらと弱気なのがかわいい。竜化がつよかわいい。うーん、いい。
待ちに待ったディア・ラスティアラの合流もあり、ついに集結してしまった精神不安定爆弾娘たちを、カナミがどう対処していくのか楽しみすぎます。
3巻での事件を経て、大きく変化したカナミ。なろう系主人公の香りは確かにあるんですが(能力だけ見ればめっちゃ強い)、いつも何かに邪魔をされてその強さをフルに発揮できないというのが、この作品らしいですよね。幾たびもの困難に見舞われ、前回は失敗したカナミでしたが、今回こそは大成功と言ってもいいのではないでしょうか。作者さんも言っていましたが、きっとここまでの物語はこのお話を書くためにあったのではないかと思います。今回は特に、単純な強さだけでなく、その心にも目に見えて変化が現れていました。そしてカナミ以外にも変化は現れています。取り巻く環境は以前とは別物になりました。信頼できる心強い仲間を手に入れ、七人という大所帯になったカナミパーティの今後が楽しみです。賑やかそう。

サクラ×サク 04 滅愛セレナーデ

 

 ~あらすじ~

「二度とわたしを、姫なんて呼ばないで」 最後に水浴びをしたのは、いつだったか。五日前? もっとか。十日前……? ハイジ・バランは、まだ、生きています。 大王都カバラからなんとか脱出したものの、帝国の軍勢は既にデスティニア公国へも進軍していた。大軍で押し寄せる帝国軍にサクラたちは少数精鋭で立ち向かう……! 血が滾(たぎ)って色々躍る大戦詩幻想交響曲(ファンタジックウォーシンフォニー)、運命が軋む4巻!!

 

口絵「きみは僕を、受け入れろ……!」

 読了後の僕「早く結婚しろ!!!」

評判は聞いていたんですよ。「面白い」って。

……ここまでとは思いませんでしたが。

さて、今回4巻では、いろいろな意味で状況が大きく動きました。各地で戦闘が勃発、大混乱に陥る公国。ついに帰還したサクラ隊でしたが、問答無用でその戦火に飲まれていく。

ちょっと固有名詞が増えてきてごちゃついている印象はあるのですが、それを跳ね飛ばす圧倒的魅力がこの作品にはあります。それは主人公ハイジと、ヒロインであるアリスの関係性です。

ここだけは本当に、自信をもって言えるのですが、これは他のどの作品にもない魅力なんです。単なる純愛というわけでもない、単なるツンデレというわけでもない。ハイジはサクラのことを心の底から愛しており、そしてサクラはハイジの存在に苦悩する。これは一巻から通して描かれてきたもので、4巻にて一つのターニングポイントを迎えました。

鍵となるのはサクラの魔性《ブラッド》です。世界を拒絶し、世界から拒絶される。ただ孤独に戦い続けてきた彼女のもとに現れた、一人の少年。彼の存在が、本当に少しずつ、サクラの心を変えていって、その心に、ハイジの想いはついに届いたんです。これがどんなに嬉しかったか!

時には離れ離れにもなりました。すぐに自死しようとしてしまうハイジもいました。でも、最後の最後にハイジは「男」を見せたんです!これは、これまでの4冊の中でも飛びぬけて明らかな『変化』なんです。ここで、僕は「ああ、ハイジは変わったんだな」と思わずにはいられませんでした。たぶん彼は今後もオドオドし続けると思うんです。でもそれはきっと、もう昔みたいに無力な彼じゃないはずです。

そして変化はもちろん、サクラにもあったわけで。ずっとハイジという男の存在に苦悩していた少女が、ついに一つの答えにたどり着いたあの瞬間。歓喜に震えました。1巻を呼んだあの日から、ずっと待ちわびてきたので当然です。溜めに溜めた『切り札』をようやく切ってきたか、という感じです。

というわけで、今回は間違いなく今までで一番面白い巻だったかと思います。ラストは誇張なく最高でした。未読の方、途中で止まっている方は是非4巻まで読んでいただきたいです。ラスト50ページにすべてがあります。

そういえば、このブログで初めて感想を書いたのがサクラ×サクでした。今回は受験明けで久しぶりの再開になるわけですが、その再スタートに大好きなこの作品の感想を書けたというのは、なかなか感慨深いものがありますね。またちょくちょく更新していきたいと考えていますので、よろしくお願いします。

 

 

アクセル・ワールド (18) ―黒の双剣士―

 

 ~あらすじ~

ついに実装の≪宇宙ステージ≫で、≪あの黒い双剣士≫との壮絶バトル!

白のレギオンに挑むため、黒雪姫率いる≪ネガ・ネビュラス≫は、緑のレギオン≪グレート・ウォール≫との休戦及び共闘を申し出た。
緑の本拠地・渋谷第二エリアにて、緑の王≪グリーン・グランデ≫、その幹部集団≪シックス・アーマー≫と対峙するハルユキたち。しかし会談が開始される直前、思いがけない人物が乱入してくる。
そのアバターは、黒雪姫と同じく、真っ黒な姿で、二本の剣を携えていた。
グラファイト・エッジ。元≪ネガ・ネビュラス≫の幹部≪四元素≫の一人。両レギオンに浅からぬ因縁を持つそのバーストリンカーが二人の王に持ちかけた、驚くべき提案とは――!?
いっぽう、赤の王≪スカーレット・レイン≫ことニコも、加速世界と赤のレギオンの未来を見据えて独自に動き出す!!
ついに≪宇宙≫ステージも実装!? な禁断の最新刊登場!

 

 

待望の最新刊。8か月ぶりです。

今回、ついに四元素最後の一人が登場しました。グラファイト・キリトさんです(違)。

レベル9ではないけど、それに匹敵する実力を持つという彼。ロータスと互角の戦いを繰り広げるなど、その一端を垣間見ることができたのではないかなと思います。

グラフの使うスキル、ちょっと意味深すぎますね......自作品同士のクロスオーバーは卑怯ですが盛り上がります。正体は謎に包まれたままといったところ。何を考えているのかもイマイチ掴めない男です。

宇宙ステージでの戦闘は今までと一味違う新鮮さがありました。低重力下で戦うとこんなことになるのか~ほ~すげ~、みたいな感じで読んでいました。確かに打撃系の攻撃は威力が薄れるだろうし、『敵を弾き飛ばす』といった戦法も出てきますよね。理論に隙がなくて感心するばかりでした(もしかしたら理論の『穴』はあるのかもしれませんが僕はあまり深く考えずに読んでいるので気が付かないです)。

あとがきに『ハルユキ以外の視点を取り入れてみた』的なお話がありましたが、プチ・パケの三人組は良かったですね。普段のAWとは雰囲気の異なった、なんというか甘~い時間が流れていた気がします!お菓子食べてたからかな!

視点が増えて多角的に楽しめるようになった分、一つの視点に割く時間が減ったようにも思えます。プチ・パケとの初対面のシーンはもう少しやっても良かったのでは。せっかくの新メンバーですし、彼女たちとの友情にも期待していきたいですしね。

帝城への再アプローチ、および彼との再会は胸が熱くなりました。握手を交わした瞬間の『あぁ......友情を感じる......』感が最高です。最後にまた気になる展開をもってきて、安定の『つづく』でしたが、それだけ次回への期待が高まります。未解決問題や伏線がうようよしていて、今回もかなりばら撒かれた印象でしたが、次回からは物語も『静』から『動』へ移っていきそうです。

加速研究会がらみのギスギス・ドロドロした展開よりも、みんなで一致団結して領土防衛したり、帝城攻略したりしてる方が好きな身としては、さっさと攻め込んでやっつけちまえ!って感じです。次回は激突するのか......楽しみです!

 

~おまけ~

AWって何巻に何の話があったか分からなくなりませんか......?

僕はなります。

一本の大きなストーリーとして繋がっているからなのか、表紙がほぼ黒雪姫だからなのか、理由はよく分かりませんが、読んでる他の人に聞いてみても結構この現象に当てはまるんですよね。

皆さんはどうですか?

エイルン・ラストコード ~架空世界より戦場へ~ 2

 

エイルン・ラストコード ?架空世界より戦場へ? 2 (MF文庫J)

エイルン・ラストコード ?架空世界より戦場へ? 2 (MF文庫J)

 

 ~あらすじ~

ロボットアニメの世界から西暦2070年の世界へと召喚されたエイルン=バザッド。虚構の存在である自分の存在を認めてくれたセレンと、この世界を救うため立ち上がるエイルンだが、騎兵部の部員は独断専行、心に爆弾を抱えた生徒が多数と、人類反抗の先鋒たる氷室義塾の崩壊寸前な状況が判明する。何よりセレンにまつわる悲しい過去『機兵部初代部長・神無木緑の喪失』が呪縛のように多くの生徒を苦しめていた。「一ノ瀬……誰かが誰かに成り替わるなんて、出来はしないんだ」だが、エイルンの言葉と行動が、多くの人の心を動かしていき――!? 爆発する爽快感! とにかく熱くて、火傷する、新世代ロボットライトノベル第二弾!

 

 

激熱ロボアクション作品、待望の第二弾!

衰えません、この『熱さ』。

前回は主人公とヒロインメインで進行していた分、今回は他の氷室義塾メンバーにスポットライトが。

いいですよね『ギロチンタッグ』!!とある過去を引きずり、疎遠になっていた二人がエイルンの姿を見て決起......再び最強タッグを組む、再び火をつける!

ただ、今回のメインはギロチンタッグだけじゃないんです。

機兵部の不良三人組、こいつらがまたかっこいい!

エイルンをオタクだとバカにしていた彼らが心を入れ替えていき、最後は戦場で背中を預ける最高の味方になるという成長の物語でもあるんです。

まさかエイルン・ラストコードで『教官もの』の良さを味わうことになるとは思いませんでした......。

こう見ると、なんというか展開がずるいんですよね......「そこでこの展開は卑怯だー!」というのをガンガンぶち込んでくるので、もう全編を通して燃えっぱなし、みたいな。

ジークンドーの構えをするエルフィーナだとか、コスプレして勘違いする紫貴さんだとか、通い妻ヒロインだとか、不良三人組による独立遊撃部隊だとか、その不良が実は妹思いのイイ奴だとか、「お願いだから......死なないで」だとか、ピンチに駆けつけるかつての戦友だとか、主人公のクサい言動は全部"アニメキャラだから"で説明しちゃうところとか、まあそんなこと言ったらエルフィーナなんて"ずるさ"の塊みたいなやつなんですが......僕はそういう趣味全開なところ、大好きなんですよね......!いいぞもっとやれ!と思いながら読んでいます。

二巻のテーマは『支え合う強さ』といった感じでしょうか。周りを固めるキャラクターが濃く描かれていて、魅力もずいぶん増してきたのではないかと思います。

一巻が"個"を見せる展開だとすれば、二巻は"群"を見せる展開。支えがあるからこそ主役は活躍するんだということを認識させられました。

確かに派手さではエルフィーナに劣ってしまうかもしれませんが、生徒会や機兵部の絆や信頼はそれにも勝る熱さがあります。

次回は再び奴らが暴れてくれるということでそちらにも期待しつつ、首を長くして待機あるのみ!次回も楽しみです!

 

おまけ

もうTwitterやら読書メーターやらでは言ったのですが、ここでも自慢させてください。

実はエイルン二巻の帯(おそらく初版のみですが)には僕のコメントが載っているんです。めっちゃテンション上がってるのが僕です。このコメントを見て少しでも興味を持ってくれた方がいればいいな、と思っています。

以上、おまけでした!

 

 

 

 

ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか外伝 ソード・オラトリア4

 

~あらすじ~

 「聞いても、いい?」
「えっ?」
「どうして君は、そんなに早く、強くなっていけるの?」
「……何がなんでも、辿り着きたい場所があるから、だと思います」
「私も……」
──悲願(ねがい)がある。何がなんでも、辿り着かなければならない場所が、遥か先の高みにある。
少女にも、少年にも。

ついに始まる『遠征』。未到達領域59階層への挑戦。少女は『未知』へと挑み、そして少年は──。
『──冒険を、しよう』

これは、もう一つの眷族の物語、
──【剣姫の神聖譚(ソード・オラトリア)】──

 

 

外伝......?

いや、これはもはや、もう一つの『本編』でしょう......。

読者に圧倒的熱量を提供してくれるダンまち、ソード・オラトリアでも健在です。

前編は本編3巻の裏側、後編は『遠征』。

本編3巻.....数ある名シーンの中でも、僕が最も好きなシーンであるミノタウロス戦。ベル君は、窮地に駆けつけた憧憬のアイズ・ヴァレンシュタインの背中を見て「これ以上助けられるわけにはいかない」と奮起するわけですが、外伝4巻はそれと対になる展開でした。

ベル君の遥か"上"に位置する彼ら第一級冒険者は、奮い立ったベル・クラネルの背中に『英雄』の姿を見ます。誰よりも『冒険』をして、英雄譚に登場する主人公のように輝いていた彼に、アイズたちは心を動かされます。

そして未到達領域、59階層にて邂逅する強敵。圧倒的なその強さに心が折れかけるロキ・ファミリアメンバー

そこで団長、『勇者』フィンが放った一言――

 

「ベル・クラネルの真似事は、君たちには荷が重いか?」

 

......。

かっけえええええええ!!!!

本編でアイズたちに憧れるベル君を見ている分、『逆にアイズたちがベル君に憧れる』展開は"刺さる"!!!

『人を煽る天才こそ、真の勇者』......なるほど確かに、紛れもない勇者だった......!!

そしてみんな奮い立つわけですよ、それこそミノタウロスを前にして立ち上がって見せたベル君のように!

もうここからはみんなメチャクチャかっこよかったです。

友から授かった防御魔法を展開し、ティオナ・ティオネの援護を受けて猛攻を防ぎきって見せたレフィーヤ。

全魔力を解放して最後の一撃を放つリヴェリア。

塞がれた道を切り開いたガレス。

そして、フィンとベートが敵の攻撃を抑え込み、作り上げられた1本の道。

そこを駆け抜ける一陣の風、アイズ・ヴァレンシュタイン

こんなの燃えるしかない!震えるしかない!

迷宮最深部を舞台にした外伝だからこそのド迫力バトルでした。

オラリオ最強の冒険者集団ロキ・ファミリアの実力をまざまざと見せつけられました。

うーん、やっぱりダンまち、最高ですね......。

 

~余談~

アニメ放送中に刊行されたわけですが、これはなかなかGJ。アニメと原作で相互補完していけるようになっていて良かったです。特に膝枕。「あれ、こんなの原作でやったっけ......?」と思いつつアニメを見ていたら、まさかこっちに出てくるとは......してやられました。

 

新約 とある魔術の禁書目録 (11)

 

 ~あらすじ~

「そういえば初めて『あの人』と出会ったのも、あの交差点だったかしら」食蜂操祈が初めて上条当麻と遭遇したのは、数多の魔道書を司る白いシスターが魔術の世界から逃げ出し空から降ってくる、ずっと前のことだった。今でも、食蜂操祈は覚えている。ツンツン頭の少年との想い出を。はじめは、新手のナンパかと思った。ある時は、水着を見られた。ある時は、バッグで頭をぶん殴った。ある時は、間接キスを経験させられた。そして、最後に―。命を救われた。それは、彼女の人生の中でも、一、二を争う『幸せな時代』。精神系最強の能力者『心理掌握(メンタルアウト)』の、大切な『記憶』だった。食蜂操祈の過去を紐解く物語が、今始まる。

 

どうやってその胸を手に入れたんだ......

......まあいいか!可愛いから!

僕は超電磁砲の方は完全ノータッチなので、たま~に、ちらちらっと出てくるだけの食蜂さんしか知らなくてかなり謎な存在でしたが、ついに、満を持して、1冊丸々みさきち回がやってきました!いや~すっきり!

というわけで今回は過去編からの『記憶の改ざん』の解決、といった流れ。

食蜂操祈という名前一つとってみても深い意味が込められており、やたら仰々しいのも納得。兵隊蜂を引き連れて頂点に君臨するという女王という構造がうまく彼女を表しています。

さらに、過去編で明らかになった『彼』との記憶。彼は覚えていないかもしれないけれど、私だけはこの記憶を忘れないでいよう――どれだけその記憶を大切にしていたかが、もうガンガン伝わってきて、やばいですね......しかもみさきち超乙女なんです。ホイッスルを大事そうに抱える彼女の横顔、憑き物が落ちたように朗らかな笑みを浮かべてベンチから去っていくその姿......はいむら先生も仕事しすぎ!

上条さんが主人公で進む物語にあまり彼女が絡んでこなかったのも仕方ないのかもしれません。何しろ忘れているわけですし。しかし今回、上条当麻食蜂操祈の間に『新たな繋がり』が生まれました。今後その繋がりが成長していき、本編にもガッツリ絡んでくるようになったら嬉しいですね。

新約9~10巻である種の『完成』を見たと僕は思っていますが、違うアプローチで面白さを見せてくれた今回は「ああ、禁書はまだまだ楽しませてくれるんだな」と再確認させてくれました。

一つ謎を解決し、二つ謎を提示してくる禁書。そりゃ終わらないですわ。

ということで、最後はこのセリフを。

 

 

『ーーいつか私のことを思い出したり、覚えておく事ができるようになったのならぁ』

 

『その時は大切な話をしましょう? とてもとても、甘くて優しい大切な話を』

 

 

サクラ×サク 02 ボクノ願イ叶ヱ給ヘ

 

 ~あらすじ~

帝国領ファウラス城市攻略!立ちはだかるは、サクラの妹ナズナ

「本日付で第八公軍第一連隊に着任いたしました、ハイジ・バラン少尉であります!」
サクラにひと目も会えないままハイジ・バランの日々は飛ぶように過ぎてゆく。
帝国の防衛網を切り裂きながら進む第八公軍が目指すは帝国領ファウラス城市。
サクラの下に増援として派遣されたのは、サクラの妹、ナズナ率いる七六旅団。
血が滾って心も躍る本格ファンタジー戦記、待望の二巻!

 

僕はこの作品が大好きすぎるので完全に信者視点で感想を綴っていきたいと思います。微妙にネタバレを含むような気がしますが核心に触れるようなものはないので、よっぽど気にされる方以外は問題ないかと思います。

 

今回のあらすじは、『妹登場!兄登場!非常に厄介!そしてハイジとサクラは離れ離れに――いったいどうなっちゃうの~?』という感じです。

2巻にして早くも離れ離れに......辛いですね。でもここで、いわゆる『遠距離恋愛』状態(まあ、両想いというわけではないんですが)になることで、再会したときの感動が何倍にも膨れ上がるわけですよ。さらに言うと、今現在つんつんしているサクラちゃんですが、つんつんすればするほどデレた時の可愛さが何倍にも膨れ上がるわけですよね。いったい何倍になっちゃうんだ......。

また、サクラの孤独感も見事に描写されていたかなと思います。サクラの魔性、簡単に言えば『物に触れることができない魔性』です。これが敵の攻撃をまったく受け付けない、無敵の"個"たらしめている理由なのですが、この反則ともいえる能力、もちろん制約があります。

『攻撃を跳ね返すことはできるが痛みはそのまま伝わる』。

......いや辛すぎでしょう。でも、『独り痛みに耐えて戦い続ける孤独な姫』って最高なんですよね......。『物に触れることができない魔性』=『孤独感や疎外感』を表しているというのが非常にうまいなぁ、と。

主人公ハイジ君も僕的にはめっちゃ好きですね。すぐに自死しようとするヘタレ系、パニックになると地の文がすごいことになっちゃうような主人公です。

でも、一途に姫を想い続ける彼は本当にかっこいい。

ハイジの魔性は『魔性持ちが近くにいると身体能力向上』というものですが、これもまたハイジの心情の変化をうまく表しているんですよね。姫に会いたいという気持ちをあたかも力に変えているような描写にできるのはちょっとずるいレベル。んで『姫のピンチに颯爽と駆けつける王子様』みたいな構図になるし、おまけに駆けつけた時には超強くなってるんですもん、やっぱずるい。

ということで延々とメイン二人について書いてますが、新たに兄弟たちが登場しました。またまたこいつらが場をかき乱してくれそうで楽しみです。

ということで今回は、ばっちり盛り上がるけど準備回という感じですかね。

早く姫の侍官に戻ってほしいものですが、このもどかしさが必ずや今後の展開のいい"バネ"になってくれるはず。

 

『ボクノ願イ叶ヱ給ヘ』。

 

いつの日か、ハイジの想いがサクラに届くと信じて。