孤独なカラスのラノベ備忘録

勝手気ままにラノベの感想を書き連ねるだけのブログです。

サクラ×サク 04 滅愛セレナーデ

 

 ~あらすじ~

「二度とわたしを、姫なんて呼ばないで」 最後に水浴びをしたのは、いつだったか。五日前? もっとか。十日前……? ハイジ・バランは、まだ、生きています。 大王都カバラからなんとか脱出したものの、帝国の軍勢は既にデスティニア公国へも進軍していた。大軍で押し寄せる帝国軍にサクラたちは少数精鋭で立ち向かう……! 血が滾(たぎ)って色々躍る大戦詩幻想交響曲(ファンタジックウォーシンフォニー)、運命が軋む4巻!!

 

口絵「きみは僕を、受け入れろ……!」

 読了後の僕「早く結婚しろ!!!」

評判は聞いていたんですよ。「面白い」って。

……ここまでとは思いませんでしたが。

さて、今回4巻では、いろいろな意味で状況が大きく動きました。各地で戦闘が勃発、大混乱に陥る公国。ついに帰還したサクラ隊でしたが、問答無用でその戦火に飲まれていく。

ちょっと固有名詞が増えてきてごちゃついている印象はあるのですが、それを跳ね飛ばす圧倒的魅力がこの作品にはあります。それは主人公ハイジと、ヒロインであるアリスの関係性です。

ここだけは本当に、自信をもって言えるのですが、これは他のどの作品にもない魅力なんです。単なる純愛というわけでもない、単なるツンデレというわけでもない。ハイジはサクラのことを心の底から愛しており、そしてサクラはハイジの存在に苦悩する。これは一巻から通して描かれてきたもので、4巻にて一つのターニングポイントを迎えました。

鍵となるのはサクラの魔性《ブラッド》です。世界を拒絶し、世界から拒絶される。ただ孤独に戦い続けてきた彼女のもとに現れた、一人の少年。彼の存在が、本当に少しずつ、サクラの心を変えていって、その心に、ハイジの想いはついに届いたんです。これがどんなに嬉しかったか!

時には離れ離れにもなりました。すぐに自死しようとしてしまうハイジもいました。でも、最後の最後にハイジは「男」を見せたんです!これは、これまでの4冊の中でも飛びぬけて明らかな『変化』なんです。ここで、僕は「ああ、ハイジは変わったんだな」と思わずにはいられませんでした。たぶん彼は今後もオドオドし続けると思うんです。でもそれはきっと、もう昔みたいに無力な彼じゃないはずです。

そして変化はもちろん、サクラにもあったわけで。ずっとハイジという男の存在に苦悩していた少女が、ついに一つの答えにたどり着いたあの瞬間。歓喜に震えました。1巻を呼んだあの日から、ずっと待ちわびてきたので当然です。溜めに溜めた『切り札』をようやく切ってきたか、という感じです。

というわけで、今回は間違いなく今までで一番面白い巻だったかと思います。ラストは誇張なく最高でした。未読の方、途中で止まっている方は是非4巻まで読んでいただきたいです。ラスト50ページにすべてがあります。

そういえば、このブログで初めて感想を書いたのがサクラ×サクでした。今回は受験明けで久しぶりの再開になるわけですが、その再スタートに大好きなこの作品の感想を書けたというのは、なかなか感慨深いものがありますね。またちょくちょく更新していきたいと考えていますので、よろしくお願いします。